導入
ボートエギングシーンにおいて、2010年の登場以来、長年にわたり確固たる実績を築き上げてきた名作エギ「エギリー・ダートマックスTR」。その圧倒的な釣果性能は多くのエキスパートアングラーから支持され、ティップランエギングにおける一つの基準となってきました。そして、その輝かしい歴史と核心性能を受け継ぎつつ、現代のフィッシングシーンに合わせて全面的にアップデートされた正統後継モデルが「エギリー・ダートマックスTRZ」です。
本レポートは、これら二つのモデルについて、素材、デザイン、性能、価格といった多角的な観点からその主な違いと進化のポイントを専門的かつ客観的に分析し、アングラーが自身のスタイルに最適なモデルを選択するための一助となることを目的とします。
Youtube動画は11月に公開済みです.
速報!ダートマックスTRZとダートマックスTRを見比べよう!【4K】
https://youtu.be/eYgfaLs5SYg?si=E7imrL5gXqvHcP21
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1. 開発コンセプトとモデルの立ち位置
両モデルの具体的な仕様を比較する前に、それぞれの開発思想と市場における役割を理解することは極めて重要です。このコンセプトの違いが、細部にわたる設計思想の差となって表れているからです。
ダートマックスTRは、ボートエギング専用モデルとして、特にアクションのキレと底取り性能を重視して開発された初代モデルです。ヘッド部分の布を排したウエイト一体成型ヘッドにより、コンパクトながら重量を確保し、深場や激流エリアにおいても驚異的な着底感度を実現しました。その唯一無二のダートアクションと信頼性で、ティップランエギングのスタンダードを確立したモデルと言えます。
一方、ダートマックスTRZは、TRの核心性能、すなわち「キレのあるダートアクション」と「理想的な静止姿勢」を継承しつつ、現代の釣り方に対応すべく素材やバランスを全面的にアップデートした「正統後継製品」です。ABS樹脂ボディの採用やフィン素材の変更など、基本構造から見直すことで、操作性、安定性、そして拡張性を新たな次元へと引き上げることを目指して開発されました。
このコンセプトの違いが、具体的な仕様にどのように反映されているのか、次章から詳細に見ていきましょう。
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2. 主要フィーチャー比較:TRからTRZへの進化点
本セクションでは、分析の中核として、両モデルの物理的な構成要素を一つずつ比較検討し、その具体的な差異を明らかにします。これらの違いが、実釣性能に直結する重要な進化点となります。
- ボディ素材と形状
- ダートマックスTR:
- ウエイトとヘッドが一体成型されており、ヘッド部分の布を排除したシャープなデザインが特徴。
- ダートマックスTRZ:
- 耐久性と設計自由度の高いABSボディ素材を採用。これにより、内部の「空気室のバランス」を徹底的に追求することが可能に。
- 水流を受けるノーズ部分を可能な限りスリム化し、引き重りを軽減。
- 実物を比較すると、旧作よりボディがやや太く、厚みが増しており、この増した体積が、後述する理想的な「静止姿勢」の安定性向上に寄与していると考えられます。
- ダートマックスTR:
- フィン
- ダートマックスTR:
- 素材は鳥の羽(フェザー)を使用。
- ダートマックスTRZ:
- 高い姿勢制御性能を発揮するエラストマー素材の一体型フィンを採用。
- 注意点: エラストマーは素材の特性上、他のルアーと接触させたり高温下に置いたりすると変形や溶融のリスクがあるため、専用ケースでの保管が推奨されます。
- ダートマックスTR:
- シンカーとアイ
- ダートマックスTR:
- シンカー中央にエッジが立った三角形状(キール)を持ち、直進安定性に寄与。
- ダートマックスTRZ:
- 30gモデルでは、シンカーがラウンド形状に変更されています。
- 一方、40gモデルは、オリジナルTRと同様のキール形状を意図的に維持しています(「40gはシンカーのキールが立ってますね」)。この設計判断は、40gモデルが多用されるであろう深場や激流下での高速安定性と直進軌道を確保するための、緻密なチューニングであると推察されます。
- ラインを結ぶアイのサイズがTRより大きく、結束しやすくなっています。
- 追加ウエイトの装着を前提とし、装着時でも最高のパフォーマンスを発揮できるよう、アイの位置とシンカーバランスが最適化されています。
- ダートマックスTR:
- カンナ(フック)
- ダートマックスTR:
- 大型アオリイカを確実に仕留めるための「ビッグカンナ(BK)」仕様を搭載。
- ダートマックスTRZ:
- TRのBKシリーズと同サイズの軽量カスタムカーボンフックを搭載。フックサイズという実績ある要素は継承しつつ、より高いフッキング性能を追求しています。
- ダートマックスTR:
- 外観(塗装・デザイン)
- ダートマックスTR:
- 鏡面メッキ仕上げのヘッドが強いフラッシング効果を生み出し、スレイカにアピールします。
- ダートマックスTRZ:
- より精巧なハイクオリティペイントを採用。
- ヘッド下部に**ラメ(ギラギラ)**が追加され、視覚的なアピール力が強化されています。
- 目や背中の鱗模様といったディテールのデザインも一新されています。
- ダートマックスTR:
これらの物理的な違いは、単なるデザイン変更に留まりません。次章では、これらの進化が実際の釣りにおける性能にどのようなインパクトを与えるのかを掘り下げて分析します。
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3. 性能と実釣におけるインパクト
前章で明らかにしたデザインや素材の変更点が、実際の釣りにおいてどのような性能差として現れるのか。このセクションでは、アングラーにとって最も重要な「だから何なのか?(So What?)」という問いに、技術的根拠を基に答えていきます。
ダートマックスTRの性能特性
「ダートマックスTR」は、その設計思想に基づき、今なお一線級の性能を誇ります。
- シャープなアクション: ウエイト一体成型ヘッドが可能にした、キレのある横方向へのダートアクション。
- 高い感度: コンパクトかつ高自重な設計により、深場でも明確な着底感度を実現。
- スレイカへの効果: ラインスラックを使った操作で不規則なスライドアクションを演出し、単調な誘いに反応しないスレイカの捕食スイッチを入れます。
ダートマックスTRZの性能における進化点
「ダートマックスTRZ」は、TRの長所を継承しつつ、素材とデザインの刷新によって性能を全面的に向上させています。これは、各部の進化が複合的に作用した結果です。
- 操作性の向上: ABSボディの採用は、設計の自由度を格段に高め、水流を受けるノーズ部分を極限までスリム化することを可能にしました。この緻密な形状の最適化が、シャクリ時の「引き重り感が大幅に軽減」される直接的な要因です。結果として、より少ない力で軽快なロッドワークが可能となり、アングラーの意図に鋭敏に反応するレスポンスの良さを生み出しています。
- 安定性の飛躍: 新採用のエラストマー製フィンは、水中での姿勢制御能力を飛躍的に高めました。これにより、ダート後の静止姿勢がより素早く、かつ理想的な角度で安定し、イカに躊躇なく抱かせる「間」を確実に演出します。
- 拡張性と耐久性の獲得: 追加ウエイトを装着した状態でもバランスが崩れず、ハイパフォーマンスを維持できるようにシンカーとアイのポジションが最適化されています。これにより、これまで以上に深いエリアや複雑な潮流にも柔軟に対応可能です。また、ABSボディは岩などに「ぶつけても強い」という物理的な堅牢性をもたらし、ハードな使用環境での信頼性を増しています。
- 実釣での圧倒的な評価: これら技術的進化の相乗効果は、現場での釣果という形で明確に現れています。特に「深場が得意」という評価は、引き重りの軽減と安定性の向上によるものです。アングラーが体感する性能差は、「別物の感じぐらい釣れる」という現場の声に集約されており、単なるマイナーチェンジではない、本質的な性能向上を裏付けています。
総じて、TRZはオリジナルのTRが持つ「釣れるアクション」の核心はそのままに、アングラーがより快適に、より多様な状況でその性能を最大限に引き出すための進化を遂げたモデルと言えるでしょう。
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4. スペックと価格の比較
ここでは、両モデルの基本的な仕様と価格を客観的に比較し、製品選択の基礎情報を提供します。
| 比較項目 | ダートマックス TR (BK) | ダートマックス TRZ |
| ボディサイズ | 3.5号クラス (110mm) | 3.5号クラス (110mm) |
| ウエイト | 30g, 40g | 30g, 40g |
| 価格 (30g) | ¥1,800 | ¥2,000 |
| 価格 (40g) | ¥1,850 | ¥2,100 |
※表示価格はメーカー希望本体価格(税抜き)です。
上記の通り、サイズとウエイト展開は両モデルで共通しています。一方、TRZは後継機として素材や製法がアップデートされたことに伴い、価格設定も上昇しています。この価格差が、性能やアピール力の向上に見合うものかどうかは、アングラーの判断基準の一つとなります。
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5. カラーバリエーション
製品の視覚的アピールと、天候や水色といった状況への対応力を示すカラーラインナップは、エギ選択の重要な要素です。
- ダートマックスTR (BK) ソースで確認されたカラーコードには、TR03, TR05, TR06, TR09, TR10, TR11, TR13, TR15, TR17, TR18, TR19, TR20, TR21, TR22, TR29 などがあります。
- ダートマックスTRZ ソースで確認されたカラーコードには、TZ01, TZ02, TZ03, TZ04, TZ05, TZ06, TZ07, TZ29 などがあります。
両モデルともに、「スーパーアジゴールド」(TR03/TZ04)や「パープルボーダー」系といった、実績の高い人気カラー系統は共通してラインナップされています。しかし、TRZではハイクオリティペイントやヘッド下部のラメといったディテールが追加され、アピール力がさらに強化されています。特に実釣においては、天候や時間帯を問わず効果的とされる「赤テープ」系カラーが、両モデルで高い実績を上げています。
これらの違いを踏まえ、最終的な結論と選択の指針を次章で提示します。
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6. 結論:進化の要点とアングラーへの提言
これまでの分析結果を総括し、アングラーが自身のフィッシングスタイルやニーズに合わせてどちらのモデルを選択すべきか、その判断基準を提示します。
「ダートマックスTRZ」の進化の要点は、以下の3点に集約されます。
- マテリアルの現代化: ABSボディとエラストマーフィンの採用により、耐久性と姿勢制御性能が飛躍的に向上しました。
- デザインの最適化: 引き重りを軽減し、レスポンスを高めたスリムノーズと、追加ウエイトにも完全対応するバランス設計により、操作性と対応領域が格段に拡大しました。
- アピール力の強化: ハイクオリティな塗装やヘッド部のラメ追加により、視覚的なアピール力が向上し、より多くの状況でイカを惹きつけます。
以上の分析を踏まえ、最終的な提言を以下に示します。
ダートマックスTRは、今なお一線級の性能を誇る不朽の名作です。その圧倒的な実績と信頼性は、多くのアングラーにとって代えがたい価値を持ちます。長年の経験に裏打ちされた信頼性を重視するアングラーにとって、これは依然として確固たる選択肢です。
一方でダートマックスTRZは、オリジナルの長所を完璧に継承しつつ、操作性、耐久性、拡張性といった現代のニーズに応えるべく進化したモデルです。最新の性能やより快適な使用感を求めるアングラー、また深場や激流、追加ウエイトの使用など、より多様な状況へ柔軟に対応したいアングラーにとっては最適な選択肢と言えるでしょう。その価格差は、盛り込まれた数々の進化点を考慮すれば、十分に正当化されるものと結論付けられます。



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