1. はじめに:新星「XX」の影で輝きを増す旧モデルの真価
秋が深まり、キロアップのアオリイカが姿を見せ始めるこの季節。ティップランアングラーの心を熱くするニュースが飛び込んできました。そう、がまかつから数年ぶりとなるティップランロッドの新製品「EGTR XX」の登場です。市場では瞬く間に人気が沸騰し、なかなか手に入らないという声も聞こえてくるほどの注目を集めています。しかし、本記事ではその輝かしい新星「XX」ではなく、あえてその前モデルである「EGTR X アルティメイト」に光を当てます。そして、なぜ今この選択が最も賢明と言えるのか、その理由を徹底的に掘り下げていくことをここに宣言します。
私自身、ティップランを始めて3~4年が経ち、そろそろ次のステージへ進みたいと考えていました。これまで6フィート台のロッドを主軸にしてきましたが、「もっと短い竿で、よりダイレクトなゲームを楽しみたい」という探求心が芽生え、上級者向けのショートロッドを探しに釣具店へと足を運びました。実は、私はすでにアルティメイトのS65モデルを所有していました。しかし、「こいつ、ちょっと糸絡みがですね、ひどくて」。正直なところ、その扱いにくさから「もう二度とこれには手を出すまい」と心に決めていたのです。当然、今回の目当ても話題の新製品「EGTR XX」。その実力を確かめるべく店頭で手に取ったものの、私の心を最終的に射止めたのは、その隣に並んでいた、因縁の旧モデル「EGTR X アルティメイト S510ML+」だったのです。
本稿の目的は、単なる懐古主義的な視点から旧モデルを賛美することではありません。スペックシートの数値の裏に隠された真実、ブランクス素材、設計思想、そして実釣で得られた生々しい使用感に基づき、両モデルを客観的に比較分析します。その上で、なぜ「アルティメイト」が、性能面でも、そして驚くべきことに価格面でも、今こそ「買い」であると断言できるのかを論証していきます。
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2. スペックシートの裏側を読む:EGTR X アルティメイト vs EGTR XX 徹底比較
このセクションは、本記事の核心部分です。単にカタログスペックを並べるだけでは、ロッドの本質は見えてきません。それぞれの数値や仕様が、実際のフィールドでどのような意味を持つのか、その「So What?」を深掘りすることで、両モデルに込められた設計思想の違いを浮彫りにしていきます。
まずは、私が購入した「EGTR X アルティメイト S510ML+」と、比較対象となる「EGTR XX S510M」の主要スペックをご覧ください。
| スペック項目 | EGTR X アルティメイト S510ML+ | EGTR XX S510M | 備考 |
| 標準自重 | 53g | 70g | アルティメイトが17g (約24%)軽い |
| ブランク素材 | トレカ® T1100G + M40X | トレカ® T1100G + 高弾性素材 | M40Xの有無が大きな違い |
| ブランク塗装 | 無塗装(無垢) | 塗装あり | |
| ガイド | チタンフレーム・トルザイトリング (KTガイド) | SICガイド (LDBガイド) | アルティメイトは小口径・高感度、XXは糸絡み軽減重視 |
| グリップ | 軽量化最優先のミニマル設計 | 握りやすさを重視した新設計 | |
| 税抜価格(旧) | ¥58,000 | ¥63,500 | アルティメイトの方が¥5,500安い |
| 税抜価格(新) | ¥69,000 | – | アルティメイトは価格改定で値上げ |
2.1. 核心的差異:ブランクス素材と驚異的な軽さ
両モデルの最も根本的な違いは、ブランクスにあります。アルティメイトが、東レの最高峰カーボン「トレカ® T1100G」に、高弾性・高強度の「トレカ® M40X」をコンポジットしているのに対し、XXは「T1100G」に高弾性素材を配合した、という表記に留まります。これは、アルティメイトがより高弾性な素材を贅沢に使用し、触ればわかるほどの「パツパツ」な張りを持つロッドであることを示唆しています。
そして、その差が最も顕著に表れるのが標準自重です。53g。この数字は、同レングスのXX S510M(70g)と比較して、実に17gも軽いことを意味します。率にして約24%。さらに、XXの人気モデルであるS511M(72g)と比較すると、その差は19g、実に26%にも達します。この圧倒的な軽さは、単に持ち重りがしないというレベルの話ではありません。ロッド全体の感度を飛躍的に高め、繊細なシェイクやリフトといった操作性を向上させ、そして何よりも一日中シャクリ続けるティップランにおいて、アングラーの疲労度を劇的に軽減してくれるのです。
2.2. 設計思想の対立:ガイドセッティング
ガイドセッティングには、両者の設計思想の違いが明確に表れています。
- EGTR X アルティメイト: 感度を極限まで追求するため、軽量なチタンフレーム・トルザイトリングのKTガイドを採用。小口径ガイドはブランクスとの一体感を高め、微細な振動を逃さず手元に伝えます。
- EGTR XX: トラブルレス性能を重視し、チタンフレーム・SICリングのLDBガイドを採用。傾斜したフレームは、特に穂先での糸絡みを軽減する効果が期待できます。
アルティメイトが「感度最優先」という尖ったコンセプトを貫いているのに対し、XXはより多くのユーザーが快適に使える「扱いやすさ」に舵を切ったと言えるでしょう。また、ガイド自体の重量も穂先の感度に影響を与える要素であり、より軽量で小口径なトルザイトリングを採用したアルティメイトにアドバンテージがあることは想像に難くありません。
↓左側:アルティメイト(KTガイド)、右側:XX(LDBガイド)

2.3. 操作性と快適性のトレードオフ:グリップデザイン
グリップデザインも対照的です。XXは握りやすさを重視した新設計のグリップを採用しており、特に2kgを超えるような大型イカとのファイトにおいても、しっかりと握り込める安心感があります。
一方、アルティメイトのグリップは、がまかつが誇るアジングロッドの最高峰「宵姫 天」と同じコンセプトで設計されています。「宵姫 天」とは、必要最低限のパーツで構成することで究極の操作性と感度を追求する思想の象徴であり、アルティメイトの極薄カーボンパイプを用いたオリジナルリールシートもその思想を受け継いでいます。これが、50g台という驚異的な自重の源泉なのです。正直なところ、握り込みやすさではXXに軍配が上がりますが、これは究極の性能と快適性のトレードオフと言えるでしょう。
2.4. 最大の決め手:価格の逆転現象
そして、私が最終的にアルティメイトの購入を決意した最大の理由が価格です。XXの登場に伴い、アルティメイトは価格改定が行われ、58,000円から69,000円へと大幅に値上げされました。
しかし、ここに「ある現象」が起きています。市場にはまだ、価格改定前の旧価格で仕入れられた在庫が流通しているのです。その結果、新製品であるXX(税抜63,500円)よりも、より高性能な素材を使い、圧倒的に軽量なアルティメイトが、なんと5,500円も安く手に入るという**「価格の逆転現象」**が発生しているのです。
これらのスペック上の優位性が、実際のフィールドでどのように体感されるのか。次のセクションでは、いよいよ実釣でのインプレッションをお届けします。
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3. 実釣インプレッション:EGTR X アルティメイト S510ML+は期待に応えたか
机上のスペック比較はここまで。ここからは、実際のフィールドでEGTR X アルティメイト S510ML+を一日使い込んだ、リアルな評価をお伝えします。理論が実践においてどのように証明され、また、スペックシートからは見えてこなかったどのような個性が浮き彫りになったのかを詳述します。
3.1. 賞賛すべき感度と操作性
まず特筆すべきは、その圧倒的な感度と操作性です。ショートレングスと53gという軽さがもたらす操作性は想像以上で、「短い竿はとても使いやすく」、まさに意のままにエギを操ることができます。そして感度。「感度もとても良い・・・です」という言葉しか出てこないほど、ブランクスの素性の良さが際立っていました。
メーカーが謳う「反響感度(イカの触り)」「接触感度(ボトムタッチ)」「抵抗感度(潮流の変化)」のすべてが、確かに一段階上のレベルで感じ取れます。これは、激戦区のティップランにおいて、間違いなく大きなアドバンテージとなるでしょう。
3.2. 予想外の個性:繊細すぎるティップ
一方で、使ってみて初めて分かった意外な個性もありました。それは「穂先が柔らかい」ということです。私自身、最近は張りの強いインターラインロッドを多用していたため、この繊細なソリッドティップには、正直なところ最初は少しやりづらさを感じました。不思議なことに、「長い方のアルティメイト(S65)の方が穂先が硬いような気がする」ほどです。
しかし、この評価はすぐに覆ります。このしなやかなティップは、ショートバイトやイカがエギに寄り添うだけの微細な変化をも明確に表現してくれる、最高の「目感度」を備えた武器だったのです。そして、一度フッキングが決まれば、そこからは「ML+」パワーの強靭なバットセクションが仕事を開始します。掛けたイカをバラすことはほぼなく、繊細なティップと強靭なバットという、相反する要素が究極のレベルで融合していることを実感しました。
3.3. 受け入れるべき弱点:糸絡みとグリップ
もちろん、完璧なロッドなど存在しません。このアルティメイトにも、受け入れるべき明確な弱点があります。
第一に、**頻繁に発生した「糸絡み」**です。これはS65モデルでも経験した、このロッドの宿命とも言える課題です。感度を優先した小口径のKTガイドは、構造上どうしても糸が絡みやすくなります。特に、ロッドホルダーに立てている際に風でラインが煽られると、ティップに巻き付いてしまうことが何度もありました。これは、このロッドの性能を享受するための代償と割り切り、こまめにチェックするしかありません。
第二に、グリップです。やはり「大きい2kgぐらいのイカがかっかった時」を想定すると、オリジナルのグリップはやや心許なく感じます。私も購入後すぐに滑り止めを巻くなどの改造を施しました。ただし、リールを装着した際のバランスは全く問題なく、この点は付け加えておきます。
これらの弱点は確かに存在します。しかし、それを克服してでも余りある圧倒的な性能の高さを、私はこのロッドに感じました。
↓グリップ改造後

4. 総括:今、この一本を選ぶべきアングラーとは
ここまでEGTR X アルティメイトとEGTR XXを様々な角度から比較してきました。最後に、それぞれのロッドが持つ個性と価値を整理し、あなたがどちらを選ぶべきかの指針を示したいと思います。
**EGTR X アルティメイト S510ML+**は、間違いなく「究極の性能を求めるエキスパート向けの、尖った一本」です。圧倒的な軽さとそこから生まれる異次元の感度、そして「T1100G+M40X」という最高級ブランクスがもたらす操作性。糸絡みといったデメリットを自身の技術や工夫でカバーし、性能を100%引き出すことに喜びを感じるアングラーにとって、これ以上の武器は存在しないでしょう。
一方で、EGTR XXは、糸絡みの少なさやグリップの握りやすさといった快適性を高めています。絶対的な感度や軽さでは一歩譲るものの、一日を通してストレスなく釣りに集中したい、より快適性や扱いやすさを重視するアングラーにとっては、非常に優れた選択肢となります。
そして、最終的な結論です。現在、市場で起きている「価格の逆転現象」は、この選択に決定的な意味を与えます。「より良い素材を使い、25%近くも軽くて、しかも安い」。こんな有利な状況が長く続くはずがありません。もしあなたが、ティップランという釣りをより深く、より鋭く楽しみたいと願うのであれば、答えは一つです。
市場から旧価格の在庫が消えてしまう前に、「EGTR X アルティメイト」を探し出すこと。それこそが、今、最も賢明で、そしてエキサイティングな選択であると、私は強く推奨します。
↓がまかつ LUXXE EGTR X ULTIMATE S510ML+-solid 開封レビュー【4K】
https://youtu.be/oKijlLq2v_U?si=Sd0OQCscdYiL4tAW
↓がまかつ LUXXE EGTR X ULTIMATE S510ML+-solid 実釣レビュー【4K】
https://youtu.be/fPBrac9eyLQ?si=sxSgczq0TYV8OutK



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